本節での作業を行うかどうかは任意です。 対象ユーザーがプログラマーではなく、プログラム類をデバッグするような使い方をしないのであれば、実行ファイルやライブラリに含まれるデバッグシンボルを削除しても構いません。 そうすれば 2 GB ものサイズ削減を図ることができます。 たとえデバッグできなくなっても困らないはずです。
以下に示すコマンドは簡単なものです。 ただし入力つづりは簡単に間違いやすいので、もし誤った入力をするとシステムを利用不能にしてしまいます。 したがって strip コマンドを実行する前に、現時点の LFS システムのバックアップを取っておくことをお勧めします。
まずはライブラリのいくつかについてデバッグシンボルを持つような別ファイルを生成します。 このデバッグ情報を必要とするのは BLFS における valgrind または gdb の縮退テストを実施するのに必要であるからです。
save_lib="ld-2.32.so libc-2.32.so libpthread-2.32.so libthread_db-1.0.so" cd /lib for LIB in $save_lib; do objcopy --only-keep-debug $LIB $LIB.dbg strip --strip-unneeded $LIB objcopy --add-gnu-debuglink=$LIB.dbg $LIB done save_usrlib="libquadmath.so.0.0.0 libstdc++.so.6.0.28 libitm.so.1.0.0 libatomic.so.1.2.0" cd /usr/lib for LIB in $save_usrlib; do objcopy --only-keep-debug $LIB $LIB.dbg strip --strip-unneeded $LIB objcopy --add-gnu-debuglink=$LIB.dbg $LIB done unset LIB save_lib save_usrlib
以下により実行バイナリやライブラリをストリップします。
find /usr/lib -type f -name \*.a \ -exec strip --strip-debug {} ';' find /lib /usr/lib -type f -name \*.so* ! -name \*dbg \ -exec strip --strip-unneeded {} ';' find /{bin,sbin} /usr/{bin,sbin,libexec} -type f \ -exec strip --strip-all {} ';'
ファイルフォーマットが認識できないファイルがいくつも警告表示されますが、無視して構いません。 この警告は、処理したファイルが実行モジュールではなくスクリプトファイルであることを示しています。